証券会社を辞めてよかったこと【実体験】
証券会社を辞めてよかった、という声を私の周りではよく耳にします。
本記事をご覧になっているということは、現在勤めている証券会社を辞めたいと考えているのではないでしょうか。
証券会社を辞めようと気持ちは高まっていても、いざ辞めるとなると「辞めたら年収が下がってしまう…」「他にこれといったスキルがないから…」などとに二の足を踏んでしまう気持ちも痛いほど分かります。実際に私自身も証券会社を辞めるという決心がつくまでに苦労しました。
しかし、私は証券会社を辞めて本当に良かったと思っています。具体的には、①証券業務以外の知識の習得や経験ができる②時間の有効活用ができる③顧客にとって無駄な売買を勧めなくていいことが挙げられます。
本記事では、元証券マンでIFA法人を設立した私自身が証券会社を辞めてよかったと感じている点について詳しくお伝えすることに加え、所属するIFA法人選びの注意点もお知らせします。証券マンとしての働き方に嫌気が差している人は是非最後までご覧ください。
目次
証券会社を辞めたいと考え始めた理由
私は中途入社で証券会社に入社し、10年目の年に退職しました。
会社の方針を巡り辞めようと考えたことはありましたが、証券会社での仕事に不満はなかったため(基本的にマーケットが好き)なんだかんだ10年ほど勤めることになりました。
では、なぜ退職に至ったかというと以下の2点に凝縮されます。
証券会社の仕事が顧客の役に立てているのか疑問に感じた
私はリテール営業に従事していたため、基本的に顧客と信頼関係を構築し金融商品の販売をすることが主な業務でした。
もちろん資産家や経営者の顧客と対峙するにはそれなりの対人スキルは要求されます。それに加え、証券マンであれば日々のマーケットや時事ニュースにも精通する必要があります。
ただし、あくまで証券マンの仕事は「金融商品を販売すること」であり、本当の意味で顧客のための資産運用の提案をすることは不可能でした。
証券会社にいれば痛いほど分かると思いますが、会社方針や自分に課された目標など様々な制約から顧客に最適な提案ができないことは往々にしてあります。
それに違和感を覚えつつも、若い頃は顧客よりも自分自身を優先していましたが、年数を重ねることで「このままでは顧客にも自分のためにもならない」と考え退職の検討を始めました。
会社のための無駄な会議に嫌気がさした
ふたつめ。これは管理職になったときに特に感じた点です。
私は管理職のころ、毎朝7時半から管理職会議、そのまま続けて8時10分からも管理職会議(2次会)、8時40分から自分の課で会議という日々を送っていました。
もちろん連絡事項の伝達や営業方針の共有など必要な部分も多くありますが、大半は経営側へのパフォーマンスが占めています。朝早くから計画を立てて営業に臨んでいるということを見せるための証券会社の悪い慣習であり、ほとんどが無駄な時間です。
管理職会議においては、成績の悪い課の課長は批判の対象となります。「〇〇や▲▲はなんで成績が振るわないのか?」「どうやって改善するつもりなのか?」「管理職として自覚はあるのか?」など、状況が改善されなければ毎日集中砲火を浴びます。こんなことが大概時間の8割を占めます。幸い、私は課員が優秀だったためあまり経験がありませんが、本当に無駄な時間だと心底思っていました。
「この時間を営業準備や自己研鑽に充てることができれば成長もあるだろうな」、「これをあと何十年続けるのか」と考えるとだんだんと嫌気がさしてきたため、ほぼ退職を決意しました。
証券会社を退職して良かったこと
私は証券会社を退職後、IFAに転身しました。その経験を踏まえ良かった点をご紹介します。
有価証券以外の知識の習得や経験ができる
証券会社でリテール営業に従事している際は、株や債券、投資信託をどのように販売するかを中心に考えていました。しかし、顧客と信頼関係を築いてくると不動産や保険などの相談も増えてきます。大手証券ではそれらの取扱いは可能ですが、収益化できないためあまり親身になりきれません。
私はIFAになってから、顧客の相談が増え必要だと感じたことから不動産と生命保険の知識の習得に励みました。実際、不動産会社にも勤務し宅建士資格の獲得及び実務経験も積みました。
そのおかげで顧客の相続や節税対策に貢献することもでき、ただ金融商品を販売する人からの脱却が図れたと考えています。
時間の有効活用ができる
IFAになり朝の時間はだいぶゆとりが持てるようになりました。
もちろん現在もモーニングサテライトを視たり日経新聞を読んだりはしますが、朝早く出社し会議をすることが無くなったことに加え、無駄に毎朝混んでいる電車で通勤しなくて良いという点が非常に大きいです。
アポイントの都合で朝早く出発することもあれば、夜遅くなることもありますが、それが毎日続くことはなく自分自身でスケジューリングすることでかなりメリハリのついた行動ができています。
無駄な売買を勧める必要がなくなった
証券会社にお勤めの方ならよく分かると思いますが、証券マン時代は年次が上がるにつれ会社や個人の収益目標の達成に向け、顧客に不要だと分かっていても売買の提案をしていました。また、上司からは「何か案件ない?」「あと手数料〇〇円だ!」等と、月末にはお決まりの文言が飛び交っていました。
こういったことがIFAになればほぼ無くなります。以前のように毎月の収益目標はなく、「月末までになんとしても約定させる」なんてことは全くありません。マーケットや顧客のタイミングで売買をするため、本当の意味で顧客と信頼関係を築くことができています。
証券会社を辞めて後悔したこと
私自身、証券会社を辞めて後悔したことは一度もありません。日々の無駄なルーティーンから解放され毎日が充実しています。
実際、証券会社を辞めた元同僚や元証券マンも以前よりイキイキしている人が多いですし、少なくとも私の周りで「証券会社を辞めなければよかった」という声は聞いたことがありません。
ただ、一般的に証券会社は同年代のサラリーマンに比べると高年収であり、転勤が頻繁にあるため家賃手当も充実していることが多いです。
ただ、証券会社を辞めてお金以上のものを手に入れたと確信しています。
IFAへ転身するにあたり
証券会社に勤めているのであれば、IFAへの転身を検討されている方は多いと思います。
そこで、IFA法人を選ぶ際の注意点を紹介しますのでご参考ください。
提案できる商品ラインナップやサービスの幅
IFA法人は証券会社だけではなく生命保険・損害保険・不動産会社などと業務委託契約を結んでいるケースが多く、幅広い商品やサービスの中から顧客へコンサルティングが可能です。
IFA法人によっては証券会社の時と同様に金融商品の販売のみに特化しているところもあり、自分自身がどんなキャリアを歩みたいかをしっかり確認した上で検討しましょう。
地域に根差しているか
証券会社の新人時代、「地域密着で」「〇〇の地域の方に」といったセールストークを使ったことがあると思います。
IFAは転勤がないため全国の顧客と長期にわたり関係を構築できますが、新規開拓は必須の業務です。IFA法人として地域に密着し顧客獲得をする戦略をとるケースであれば、顧客の紹介を期待できる可能性もあります。
基本的に多くのIFA法人はいわゆる「フルコミ」システムをとっているため、あまり会社からの顧客紹介は期待できないでしょう。
長期にわたり顧客と関係構築を図りたいなら
outperformは個人や法人向けの資産管理・運用の提案を中心に行っています。
当社は証券だけではなく、生命保険、不動産のノウハウも持ち合わせており、顧客の資産全体をコンサルティングしたいと考えているなら十分な商品ラインナップは揃っています。
また、東京都台東区を中心に金融セミナーを開催し新規顧客の集客も行っているため、顧客紹介も可能です。
さいごに
頑張って就職活動し入社した証券会社を退職するには勇気が必要です。
収入面、福利厚生面、さまざまな面で大手企業のほうが充実しているのは確かです。
しかし、それ以上に「人生の質を上げたい」「もっと成長したい」「顧客への提案の幅を拡げたい」と考えている方は一歩踏み出してはいかがでしょうか。