分配金目当てに商品を選んで後悔した投資信託の運用失敗事例!

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分配金目当てに商品を選んで後悔した投資信託の運用失敗事例!

配当金目当ての投資信託で失敗

2024年からスタートした新NISAをきっかけに、資産運用に興味を持ち始めた現役世代や若年層の方が増えています。運用初心者の方の中には、金融機関の販売員から投資信託での積立投資を勧められることも多いのではないでしょうか。

投資信託には商品の特徴として分配金というものがあります。分配金とは、一般的に、運用で得た収益から、保有口数に応じて投資家に還元(配当)されるお金のことをいいます。

こういう説明を聞くと、「分配金が多く支払われる投資信託を買った方がお得だ!」と思われがちですが、分配金は必ずしも利益から配分されるものではないため、注意が必要になってきます。

今回の記事では、投資信託の分配金がどのようなものなのか、分配金受取型と再投資型の違い、高い分配金を目当てに運用した結果損につながってしまった実例について紹介していきます。

これから投資信託での運用を考えている方だけでなく、現在の運用を見直したいと考えている方にも、是非最後までお読みいただけますと幸いです。

投資信託の分配金を徹底解説!

先述の通り、分配金とは運用で得た収益から、保有口数に応じて投資家に還元(配当)されるお金のことをいいます。さらに詳しく説明していきます。

分配金は必ずもらえるもの?

配当金はもらえる?

投資信託には、分配金あり・分配金なしの2つのタイプがあります。そして、分配金ありのタイプには、「分配金を受け取るコース」と「分配金を再投資するコース」があります。

分配金は、投資信託毎に設定されている決算日に支払われるのが一般的です。ただし、運用成果などを考慮した上で運用会社が定めた分配方針に基づいて判断されるため、分配金の金額が変わったり、決算期であっても支払われないこともあります。

「分配金を受け取るコース」を選んだ場合、受け取れる頻度は銘柄によって異なります。

例えば、毎月決算型は年に12回、3か月決算型は年に4回、1年決算型は年に1回決算を行っています。また同じ銘柄であっても、決算頻度を選択できる商品もあります。

分配金は、自分の指定した預貯金口座へ入金するか、投資信託を保有している証券口座での受け取りを指定できます。

「分配金を再投資するコース」を選んだ場合、決算時に分配金が支払われた際、自動的に同じ投資信託を再度購入(買い増し)することになります。税引き後の分配金で購入できる口数だけ買い付けされます。

分配金は2種類ある

分配金には税金がかかる「普通分配金」と、税金がかからない「元本払戻金(特別分配金)」の2種類があります。

普通分配金

・・・運用で得た収益(株式の配当、債券の利子なども含まれる)から支払われるもの。

元本払戻金(特別分配金)

・・・元本の一部または全部から払い戻されるもの。基準価額が個別元本(投資信託を購入した際の基準価額)を下回った場合、差額(もしくは全額)が元本払戻金として分配される

【例】分配金が100円支払われる場合(課税の際、小数点以下切り捨て)

①100円全額が普通分配金であれば20.315%が課税され、実際受け取る分配金は79円

②100円全額が元本払戻金であれば元本がそのまま返ってくるので、受け取る分配金は100円

③分配金100円のうち普通分配金が60円・元本払戻金が40 円の場合

 →普通分配金60円には20.315%が課税され、実際受け取る分配金は48円

  元本払戻金40円は非課税なので、そのまま40円=合計88円を受け取る

上記例では、①よりも②の方が受け取る分配金が多いので、一見するとお得に感じるかもしれません。しかし元本払戻金は最初に投資した元本を取り崩して支払われているため、運用によって資産を増やしたい投資家にとっては決してお得とは言えないでしょう。

また、③のように、場合によっては一回の分配金の中に普通分配金と元本払戻金の両方が混在する場合もあります。

巷でよく聞く例えに、「投資信託の分配金とは株式でいえば配当金、債券でいえば利子のようなもの」というものがありますが、分配金は必ずしも利益から支払われるものではないので、これは間違いです。

投資信託で失敗した実例

投資信託の失敗

ここからは私が実際に証券会社時代にお客さまから「自分の失敗談だよ」と聞いた実例をお伝えします。

今よりも10数年前、高い分配金を出す毎月分配型投信が投資家の人気を集めていた時代。当時40代前半だったA様(男性・会社員)は、相続でまとまった資金が出来たとき、大手証券会社の担当者から「年率15%以上の分配金利回りで、預金よりもお得でかなり人気です!」と格付けの低い海外債券に投資する投資信託Bを提案されました。A様は投資経験も浅く、投資対象のリスクについてもよく理解していませんでしたが、「老後資金として1,000万円も増やしたいし、分配金っていうのも毎月のお小遣いの足しにできるなら」と高い分配金にひかれて商品Bの購入を決めました。

1,000万円を投資したので、利回り15%であれば税引き前でも1年で150万の利益が出る計算になります。A様も月12万円程の分配金をもらっていたので、3年も経てば投資額の半分ほどの500万円近い利益になると思っていましたが、実際の利益はおよそ30万円でした。

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投資信託の損益は基準価格の変動も重要

先ほどの実例ですが、A様の運用はなぜ想像していた通りにならなかったのでしょうか。

A様は「月12万円程の分配金をもらえば、3年経てば投資額の半分ほどの500万円近い利益になる」と考えていましたが、これは実は、基準価額が一切変動しないと仮定した場合の計算になっていました。

基準価額とは、投資信託の純資産総額を全体の総口数で割って算出される投資信託1口当たりの値段のことをいいます。この基準価額は、投資信託の運用会社が毎日市場価格を基にして算出し、株価のように変動します。運用会社や販売会社のHPの他、日経新聞などでも毎日確認できる数値で、一般的には購入単位の1万口あたりに換算した価格で表されます。

基準価額はその投資信託の組み入れ商品にもよりますが、世界経済(株価・金利・原油etc.)の影響を受けます。その結果、長期保有していても、購入時よりも売却時の方が値下がっていることもあります。

また、分配金が支払われると、その分基準価額が下がります。なぜなら、分配金は投資信託の資産の中から払われるため、その資産が減れば当然基準価額は下がるからです。

そのためA様は、世界的な金利上昇の影響を受けたことで運用状況が悪化したことに加え、

毎月高い分配金が支払われることも基準価額の値下がりの要因となり、想定を下回る運用結果となってしまいました。

受け取る分配金が多いと複利効果が得られない!

先述の通り、分配金が支払われるとその分基準価額は下がります。とくに毎月分配型投信は、毎月多額の現金が資産から流出する仕組みです。このように元本があまり増えない状態で運用することになるので、ほぼ「単利運用」となります。

A様のように投資元本1,000万円を増やしていきたい方であれば分配金再投資コースが向いています。なぜなら、一定の収入を得ている現役世代の方であれば、投資信託の分配金を受け取る必要性が低いからです。こうした理由で、今年から始まった新NISAのつみたて投資枠だけでなく、成長投資枠においても毎月分配型投信は対象商品から除外されています。もともとNISAは長期の資産形成を後押しする目的で始まり、長期で着実に資産を増やすために重要なことの一つが、利益を再投資してさらに利益を大きくする複利効果です。毎月分配型投信は複利の効果を活かしにくいので、金融庁が設定する基準にそぐわないと判断され除外されました。

元本が増えれば増えるほど「利益が利益を産む」状況になるので、現役世代で資産形成を考える場合は複利効果を得られる商品選びが大切になります。

保有商品の損益は「トータルリターン」で把握できる

実例のA様は、投資してから売却を考えた3年後まで、損益を気にしたことがなかったといいます。それは受け取る分配金は当然利益で、預金のように元本が増減することはないと思っていたからです。しかし、蓋を開けてみれば当初の投資元本は激しく値下がりし、受け取った分配金を合わせても30万円ほどの利益しか出ていませんでした。

この事実を運用途中で知るすべはなかったのでしょうか。

実は2014年12月から、「トータルリターン通知制度」が導入されています。トータルリターンとは、投資信託の初回購入日から現在までの全期間を通じて、分配金や追加で買い増した分も含めたトータルの損益(リターン)が一目でわかるように、投資家に通知する制度のことです。簡単に言えば、「結局いくらもうかったのか」が分かるということです。

分配金が毎月支払われているのだから儲かっているはずだ、と思い込むのではなく、定期的に販売会社の窓口に問い合わせたり、サイトがあればマイページで確認することで、損益の把握は簡単にできます。現在の運用を見直したい人は、まずはトータルリターンから確認してみましょう。

ライフステージを踏まえた商品を選ぼう

ライフステージ

ここまで分配金について色々とお伝えしてきましたが、「分配金を受け取ること=悪」というわけではありません。分配金の利回りは世界中のどんな商品の運用でも4~10%が適正といわれています。あくまでも「高すぎる分配金」は、元本を取り崩して支払われる元本払戻金(特別分配金)の可能性が高いため、注意が必要になるということです。

分配金を受け取ることにはメリットもあります。

定期的に分配金を受け取るということは、決算の度に利益の一部を確定していることと同じ意味です。そのため、相場が大きく下落したとしても、定期的に利益確定をしていた分、損失が少なくて済むという場合もあります。

そもそも無分配だったり分配回数が少ない投資信託の場合、万が一相場が急落してしまうと、ほとんど利益を確定してこなかったので、大損してしまうということもあり得るでしょう。

では、どうやって自分に合う商品を選べばいいのでしょうか。

人はそれぞれ年齢を重ねるにつれてライフステージも変わってきます。このライフステージを踏まえた商品選びが肝要になってきます。最後は、分配金を受け取ることが向いている人・向いていない人についてお話ししていきます。

分配金を受け取ることが向いている人

「シニア(リタイア)世代」です。一般的にシニア世代は退職を迎えると、資産形成期から資産活用期に移行します。リタイア後は退職金などでまとまった資産があるので、子どもの独立、住宅ローンの支払いも終わっている場合、そこまで大きくお金を増やす必要はないといえます。しかし、定期収入が年金だけになり、預貯金を切り崩して生活することにストレスを感じる方も一定数いらっしゃいます。

そこで、まとまった資産を投資信託に振り分け、その運用資産から毎月分配金をもらえれば、目に見える形で定期収入が受け取れるので安心感が生まれるという考え方もあります。

また、「定期的に利益を確定したい人」、「投資信託でそこまで大きく利益を出したいと思っていない人」も分配金を受け取ることに向いているといえるでしょう。

分配金を受け取ることが向いていない人

ずばり、「現役(資産形成)世代」です。先に述べたように、一定の収入を得ている場合、投資信託の分配金を受け取る必要性は低いです。現役世代は、子どもの教育資金や住宅ローン、車の購入費などライフイベントが目白押しです。お金を増やしていかなければならない時期には、分配金を元本に再投資して運用する「複利運用」がなによりも大事になってきます。

また、重ねての説明になりますが、毎月分配型投信は新NISAの対象商品からも除外されています。現役世代の方においては、資産形成を目指していくにあたり新NISAを活用しない手はないので、ぜひ複利効果が得られる投資信託の購入を検討するのがよいでしょう。

まとめ

日本では長年、分配金の高さをアピールポイントとして商品の宣伝・販売を行ってきた歴史があります。しかし、2016年に金融庁が「投資先資産の収益を大きく超えた分配金を出す毎月分配金型投信は、長期投資の観点から顧客本位とはいえない」と問題視してから、毎月分配金型投信は資金流出傾向にありました。

こうした背景から今では毎月分配型投資信託は主流商品ではありませんが、分配金を受け取ることのメリット・デメリットを考慮したうえで、ご自身のライフステージと照らし合わせた商品選びをしていけたらいいですよね。

ただ、今回で分配金についてはよく分かったけれど、数ある投資信託のうちどの商品を選べばいいかわからない…、コストを理解したうえで投資を始めたい…という方に、IFAという選択肢をご紹介します。

IFAとは

ifa

IFAはIndependent Financial Advisor”の略で、近年業界で注目を集める金融アドバイザーの業態の一種です。

大きな特徴は、既存の金融機関から独立した経営方針の下、中立的な立場で顧客の立場に立った金融アドバイスができる事業形態にあります。

顧客に寄り添った提案が可能

多くの証券会社や金融機関の営業マンは会社に所属しているため、目標やノルマがあり、更に会社の方針に従う必要があります。そのため、真に顧客のための営業活動ができないことが予想されます(実際そうだと思います)。

一方、大半のIFA法人は既存の金融機関と資本関係はなく、提携する証券会社や金融機関から販売要請やノルマを課されることがないため、顧客のメリットを最優先した提案が可能です。

豊富なサービスラインナップ

IFA法人は複数の証券会社や生命保険会社等と提携しているケースが多く、豊富な商品ラインナップから顧客に最適なものを提案できる強みがあります。

そして所属IFAは、マーケットだけでなく関連する様々な分野に興味関心を持ち、日々自己研鑽に励んでいます。

さいごに

ご自身のライフプランを踏まえた提案が聞きたい、現在の運用で方向性は合っているのかセカンドオピニオンを聞いてみたい、と相談に来られる方も多くいらっしゃいます。

もし運用でお困りのことがあれば、お客様に寄り添うことができる私たちoutperformに是非ご相談ください。

ifaへの相談の流れ

永尾双葉
著者

永尾 双葉

取締役管理部長

大学卒業後、国内証券会社に入社し、主に東京都世田谷区の富裕層へのコンサルティング業に従事。その後、大手国内証券会社へ入社しコールセンターのSVとしてマネージメントも経験。現在は、バックオフィスとして顧客と従業員のサポートを中心に業務を行っている。
保有資格:AFP、宅建士