相続資産・財産の運用で失敗しないための方法は?代表的な運用方法も紹介
相続資産・財産の扱いに困っている方や問題を抱えている方は大勢いらっしゃいます。
親族から不動産・金融資産を相続したため、「大金をどうしたらいいのか分からない…」「せっかく遺してもらった資産なので、自分も同じように次の世代に遺したい」と考え、金融機関や不動産会社に相談するケースは多いでしょう。
知識がないことで営業担当者のカモにされ「あの時もっときちんと考えておけば良かった…」と、せっかくの相続資産・財産を減らしてしまい後悔しないようにしたいものです。
そもそ資産は大きく2つの種類に分けられます。1つ目は「不動産」、ふたつめは「金融資産」です。金融資産には現金だけではなく株などの有価証券や生命保険も含まれます。
本記事では、ある程度まとまった資産を相続をした(する予定の)方向けに、これまで説明した内容に加え、相続資産・財産の種類、運用方法や注意点について詳しく説明します。
最後までご覧いただけますと幸いです。
目次
主に相続財産は「不動産」と「金融資産」のふたつ
大きく相続資産は「不動産」「金融資産」に分けられます。
運用を検討・開始する前に、それぞれの特徴を把握することからはじめましょう。
不動産は簡単に売買できない「土地・建物」
読んで字のごとく、不動産は簡単に動かすことができない資産を指します。
売却する場合も、契約から決済までに多数フローがあり、それなりの時間を要します。
また、不動産は立地が良ければ安定的に収益を生む資産となります。
金融資産は「現金・預貯金・生命保険、株などの有価証券」
金融資産は、不動産と比べ流動性が高く現金に近い資産です。
一般的に、株式・債券・投資信託などは概ね1週間程度で現金化できます。
相続後に運用をすべき?
結局、知識も無いしよく分からないから「そのままにしておこう」「全部売却し現金化しよう」と考えるひとも多いでしょう。
しかし、相続後に運用しないデメリットもあるため、詳しく解説します。
不動産は「出費」が多め
故人から居住用不動産(戸建て、マンション等)を相続したとします。
ご自身が住む場合は別ですが、住まない場合は空き家になってしまうため、賃貸すれば簡単に資産運用ができます。
ただし、賃貸をしている場合も固定資産税がかかります。
また、給湯器やエアコン等、設備類の故障については大家さんの負担です。
物件が古くなってくると、あちこちで不具合が出るものです…。
安定的に家賃収入があればこれらの出費は十分賄えますが、空室期間が長いと収入よりも出費の方が多いなんてこともあり得ます。
あまり収益が見込めない場合、売却を検討しても良いと思います。
不動産を現金化し、金融資産で運用した方がよほど効率良くなる可能性があります。
金融資産は運用方法が豊富
多くの場合、郵便局や銀行にある預貯金を相続すると思います。
そのまま現金で置いておく選択肢も考えられますが、ご承知の通り日本は相変わらず超低金利状態が続いており、利息は雀の涙ほどです。
更に最近では生活物価も高騰しており、現状の金利で預けていても現金の価値は目減りする一方です。
株式や債券、投資信託などの金融資産を用いて運用し、インフレに備えることも十分可能です。
また、株や投資信託などの金融資産で相続した場合、年齢やライフステージに合った内容になっていない可能性もあるため、見直しを検討した方が良いかもしれません。
将来に備えた運用を考える
大切な相続資産は将来を見据え慎重に運用する必要があります。
今後の生活をイメージし、資産運用をすることで更に相続資産・財産を「増やす」のか「遺す」のかなど、運用方針を立てましょう。
具体的にふたつの例で解説していきます。
定年退職後
定年退職後の生活費として、夫婦二人暮らしの場合、食費、水道光熱費など、最低限の生活費として「月々23.2万円」。
旅行やレジャー、趣味への支出を充実させた、ゆとりある老後生活を送る場合「月々37.9万円」が必要だと言われています。
ゆとりある老後生活を送る場合、年金だけでは不十分です。
増やすために資産運用するのであれば、株式や債券など、金融資産の組み入れは不可欠です。
次の世代に遺したい
ご自身の代では使いきれない程の相続資産・財産を受け継いだ場合、子や孫に引き継ぐことも考える必要があるでしょう。
預貯金、有価証券、生命保険、不動産で相続させるのか、相続税を抑えるために生前贈与も行うかなど、長期に渡る運用方法を考える必要があります。
相続資産・財産を運用する代表的な金融資産とは
実際に運用するにあたり、代表的な金融資産の運用方法の特徴を解説します。
また、相続資産向け商品の注意点もご紹介します。
投資信託で相続資産を長期的にコツコツ運用
簡単に投資の基本である「長期・積立・分散」が可能なのが投資信託です。
世界中の株式や債券、金や不動産など、さまざまな商品に分散投資が可能です。
また、少額から購入可能なため「ドル・コスト平均法」によりリスクの時間分散も可能です。
一つの会社に投資する株式と違い、短期的に大きな利益は生みにくい反面、少しずつ着実に運用の成果を求めるには向いている商品です。
ほったらかしにしたいなら生命保険を活用
投資信託は自分自身で商品を選び、購入・売却ともにタイミングは自分で判断する必要があります。
一方、一時払い終身保険等、資産運用の性格も持つ生命保険を選べば、運用開始後は何もせず保険会社に全てお任せになります。
ただ保険会社があなたに代わって投資信託等を選んでくれるため、自分自身で選ぶより利益は少なくなります。運用期間は何も考えず、ほったらかしにしたいというような方にはこちらを選ぶと良いかもしれません。
銀行などの金融機関「相続プラン」には注意が必要
多くの銀行には「円定期預金」と「投資信託」or「ファンドラップ」がセットとなった相続資金向けの運用プランがあります。
預金金利は年利7%以上と非常に魅力的見えます。しかし、詳細を見ると預入期間は3ヵ月と短く設定されており、3か月が過ぎると通常の定期預金金利に戻るため、1年を通してみるとそこまで高金利ではなくなります。
また、同時に購入しなければならない投資信託やファンドラップについては、運用コストが比較的高いため、必ずお得ということでもありません。
相続資産・財産の運用に迷ったら専門家に相談を
相続資産・財産については、不動産と金融資産を同時に受け継ぐことが多いため、これまで資産運用の経験や知識がない方にとってはとても心配が多いと思います。
また、「不動産については不動産会社」「金融資産については証券会社や銀行」と相談窓口が分かれているため、手間も時間もかかります。実際、それぞれのプロに話を聞かずに資産運用をし、失敗しているケースは多々あります。
そのため、全ての資産を総合的に相談できる一生涯のアドバイザーを見つけましょう。
IFAという選択肢
IFAとは、金融機関から完全に独立した金融アドバイザーの名称です。
欧米ではこの形が主流であり、「医者、弁護士、IFA」は生活において不可欠なアドバイザーだと言われています。
日本においても、証券会社等を経た経験豊富なIFAが増えています。
IFAにも色々な特徴があるため、相続資産の運用に強みのある信頼できるIFAを探すのも良いかもしれません。
まとめ
ここまで相続資産・財産の運用において、「相続資産・財産の内容の把握」「運用の目的」「運用方法」について解説しました。
突然大金を受け取り、どうしたら良いのか分からないのは当然です。
焦らず、長期的な視点を持って大切な資産を守り運用することが肝要です。