春は「保険見直し」シーズン。整理しておきたい「投資」と「保険」の役割分担
3月、4月は進学や就職、異動など、ご家族のライフスタイルが大きく変わる季節です。生活環境の変化に伴い、家計の固定費をすっきりと整理しようと、「保険の加入や見直し」を検討される方が増える時期でもあります。
日頃ご相談を承っていると、この時期に多くの方が共通の悩みを抱えられていることに気づきます。「今の保険料は少し高い気がするけれど、万が一のことを考えると解約するのが怖い」「新NISAを始めたいけれど、投資に回す資金をどう捻出すべきかわからない」といった、非常にリアルで切実なお声です。
インターネットやSNSを開けば、「この保険は不要」「これからは投資の時代」といった様々な情報が溢れており、結局何が自分にとって正しい選択なのか、迷ってしまうのも無理はありません。
しかし、保険の見直しにおいて最も大切なのは、いきなり「どの保険商品が良いか」を探すことではありません。見直しの第一歩は、ご自身の家計において、「保険」と「投資」にどのような役割を持たせるのか、その「役割分担」を明確にすることにあります。
今回は、資産設計の全体像を見据えた上で、春という節目にぜひ整理しておきたい「投資」と「保険」の考え方について、株式会社outperformの視点から解説いたします。
目次
なぜ「保険」と「投資」を混ぜて考えてしまうのか?
私たちは日常的に「将来に備える」という言葉を使います。しかし、この「備え」という言葉の中には、大きく分けて「万が一の事態から守る(リスクヘッジ)」と「将来の豊かな生活のために増やす(資産形成)」という、まったく異なる2つの目的が含まれています。
本来、この2つは別々に考えるべきものです。それにもかかわらず、多くの方が保険と投資を同じ土俵で考えてしまうのには、日本の金融市場が歩んできた歴史的な背景が関係しています。
日本では長年、学資保険や終身保険、個人年金保険といった「貯蓄型保険」と呼ばれる商品が広く普及してきました。毎月保険料を支払いながら万が一の保障を確保し、満期になれば支払った以上のお金が戻ってくる。この「一石二鳥」のイメージが非常に強いため、無意識のうちに「保険でお金を貯めながら増やす」という感覚が定着しているのです。
もちろん、かつての金利が高かった時代においては、この方法が理にかなっていた側面もあります。元本が保証された状態で着実にお金が増え、なおかつ保障もついてくるとなれば、多くの方にとって魅力的な選択肢でした。そのため、貯蓄型保険を活用してきた過去の選択を否定する必要は全くありません。
しかし、現在を取り巻く環境は大きく変化しました。長引く低金利により、保険商品を通じて得られる利回りはかつてほど期待できなくなっています。さらに、私たちの生活に直結する物価上昇(インフレ)の波も押し寄せています。
加えて、2024年からは運用益が非課税になる新NISA制度が始まり、個人が効率的に資産形成を行うための環境が国を挙げて整備されつつあります。
このような環境下では、「守る」機能と「増やす」機能を一つの商品で賄おうとするよりも、それぞれの目的を分けて(アンバンドリングして)考える方が、結果的に家計全体の効率が良くなるケースが増えているのです。
「保険」の本来の役割は「確率が低く、損失が大きすぎるリスク」への備え

では、保険の本来の役割とは何でしょうか。それは、「起こる確率は非常に低いけれど、もし起きてしまったら経済的に立ち行かなくなるような大きな損失」をカバーすることにあります。
たとえば、ご家族を支える働き手の方に万が一のことがあった場合、残されたご家族のその後の生活費や、お子様の教育費などを、手元の貯金だけで全て賄うのは非常に困難です。あるいは、思いがけない病気やケガで長期間働くことができなくなり、収入が途絶えてしまう事態も同様です。
こうした「個人の貯蓄では到底対処できない大きなリスク」に対して、多くの人が少額のお金(保険料)を出し合い、困った人を助けるという相互扶助の仕組みこそが、保険の根本的な価値です。
保険を見直す際、まず第一に行うべきことは「公的保障」の確認です。日本は世界的に見ても、国や健康保険組合による公的なセーフティネットが非常に充実している国です。
病気やケガで入院して治療費が高額になったとしても、「高額療養費制度」を利用すれば、ひと月あたりの自己負担額は年齢や所得に応じた一定の上限額に抑えられます。一般的な所得の方であれば、月に数万円から10万円弱程度の負担で済むケースがほとんどです。
また、万が一のことがあった場合には遺族年金が支給されますし、会社員の方であれば、病気で休職した際に最長1年6ヶ月にわたって給与の約3分の2が支給される「傷病手当金」の制度もあります。
つまり、私たちはすでに、社会保険料という形で強力な「保険」に加入していると言えます。
まずは、国や会社の制度でご自身がどれくらい守られているのかを把握することが重要です。その上で、数日程度の入院や通院といった「手元の貯蓄で十分カバーできる小さなリスク」に対する過剰な民間の医療保険などは、スリム化できる可能性があることに気づくはずです。安心感のために保険に入るのは自然なことですが、その安心料が将来のための貯蓄や投資の資金を圧迫しているとしたら、それは少しバランスを欠いている状態と言えるかもしれません。
「投資」の本来の役割は「購買力の維持と長期的な資産の成長」
一方で、投資(資産運用)の本来の役割は、「お金の価値を守り、中長期的な視点で資産を成長させること」にあります。
現在、スーパーでの買い物や光熱費の支払いを通じて、物価の上昇を実感されている方は多いでしょう。インフレ(物価上昇)とは、モノの値段が上がることであり、裏を返せば「お金の価値が下がる」ことを意味します。
たとえば、現在100万円で買える車が、数年後に110万円に値上がりしていたとします。もしその100万円を金利のつかない銀行口座に預けたままにしていたら、通帳の数字は100万円のまま減っていませんが、数年後にはその車を買うことができなくなります。これが「お金の実質的な価値が目減りする(購買力が低下する)」というインフレのリスクです。
固定金利の貯蓄型保険や銀行預金は、金額が減らないという安心感がある一方で、こうしたインフレには弱いという側面を持っています。
インフレに対抗し、購買力を維持・向上させるための有効な手段が、株式や投資信託などを活用した資産運用です。企業は物価上昇に合わせて商品価格を引き上げ、利益を出そうと努めるため、株式などの資産は経済成長やインフレの恩恵を受けやすいという特徴があります。
もちろん、投資には価格が上下する変動リスクが伴います。短期的には元本を大きく割り込む時期もあるでしょう。しかし、世界中の様々な資産に分散して投資を行い(分散)、毎月一定額をコツコツと買い続け(積立)、それを10年、20年という長い期間で保有し続ける(長期)ことで、その変動リスクをある程度コントロールし、経済成長の果実を安定的に享受できる可能性が高まります。
「増やす」という目的にフォーカスするのであれば、保険よりも、新NISAのような非課税メリットをフルに活かせる投資制度を活用する方が、長期的には理にかなっていると言えるのです。
役割分担から考える「春の家計見直し」3つのステップ
ここまで、保険と投資の役割の違いについて整理してきました。それを踏まえて、春の家計見直しをどのように進めればよいのか、具体的な3つのステップをご紹介します。
ステップ1:目的の切り分けと現状の可視化 まずは、現在支払っている保険料が「万が一の備え(守り)」のためのものなのか、「将来のための資産形成(攻め)」のためのものなのかを分類してみましょう。保険証券を確認し、毎月いくらをどちらの目的に使っているのかを可視化します。自分が「増やす」目的で、どれだけのお金を固定費として支払っているかを認識することが第一歩です。
ステップ2:保険の最適化 次に、「守り」の機能について点検します。先ほどお伝えした公的保障を踏まえた上で、本当に必要な保障額を計算します。もし、貯蓄型保険で保障と貯蓄を兼ねている場合で、保険料の負担が重いと感じているのであれば、保障部分だけを掛け捨て型の保険(定期保険や収入保障保険など)で準備し直すことも有効な選択肢の一つです。掛け捨て型にすることで、同じ保障額でも毎月の保険料を大幅に抑えることができるケースが多々あります。 (※ただし、昔に加入した利率の高いお宝保険などは、解約すると損をしてしまう場合もあります。ご自身の加入時期や条件をしっかりと確認した上で、慎重に判断することが大切です)
ステップ3:資金の再配置 ステップ2の見直しによって浮いた資金、あるいは「増やす」目的で支払っていたがより効率を求めたい資金を、新NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)などの投資に振り分けます。 このように、「守り」は必要最低限のコストに抑えた保険でしっかりと固め、「攻め」は非課税制度を活用した投資で行うというように資金を再配置することで、「安心」と「効率」のバランスを自分なりに整えることができます。
自分にとっての「最適解」を見つけるために
今回は「投資」と「保険」の役割分担についてお話ししてきました。
世の中には様々な金融情報が飛び交っていますが、ご家族の構成、現在の収入や資産状況、そして「将来どのような人生を送りたいか」という価値観やリスクへの許容度は、本当に人それぞれ異なります。そのため、万人に共通する「絶対にこの保険に入るべき」「投資だけしていれば安心」といった、たった一つの正解は存在しません。
ある人にとっては不要な保険であっても、別の人にとっては心の平穏を保つために欠かせないものかもしれません。また、論理的には投資の効率が良くても、価格が変動することで夜も眠れなくなるほどの不安を感じてしまうのであれば、それはその方にとって最適な資産配分とは言えないでしょう。
大切なのは、極端な意見や周囲の声に振り回されることなく、自分自身のライフプランと目的を軸にして、納得のいく判断材料を持つことです。
株式会社outperformでは、特定の考え方や金融商品を押し付けることはいたしません。お客様一人ひとりの現状を丁寧に紐解き、客観的な情報と構造的な理解をご提供することで、お客様にとっての「最適解」を見つけるためのサポートをさせていただいております。
春という新しい季節の始まりは、家計や将来のお金についてじっくりと向き合う絶好の機会です。ぜひこの機会に、保険と投資の役割が混ざってしまっていないか、一度立ち止まって整理してみてはいかがでしょうか。そのプロセス自体が、より豊かで安心できる未来への第一歩となるはずです。
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