退職金を受取った後に「NISA」「つみたてNISA」を始めるのは遅いのか

無料個別相談

退職金を受取った後に「NISA」「つみたてNISA」を始めるのは遅いのか

nisa

退職金を受け取った後にNISAを始めるのは遅いか?

結論から言うと、決して遅くはありません。

退職金を受け取り、資産運用をはじめようと思ったものの「NISAは若い人向けかな?」「これからは収入が無いからやめた方がいいかな」というご相談は実際によくいただきます。

しかし、退職時の年齢を65歳と仮定すると、男性は平均寿命まで約16年、女性の場合は約22年【(出典)公益財団法人生命保険文化センター】にもなり、運用期間としては十分に猶予があります。

更にNISAは2023年までと2024年以降で制度が大きく変わるため、退職金受取り後のシニアの方にとって「十分に有効活用ができる」ものになります。

具体的には、①制度が恒久化すること、②非課税保有期間が無期限になること、③非課税限度保有額が1,800万円になることが挙げられます。

本記事では、これまで説明したことに加え、現行NISAと来年からはじまる新しいNISAの比較、購入可能商品や注意点などについて詳しく説明していきます。

最後までご覧いただけますと幸いです。

現行のNISA

現在のNISAは2種類存在します。

制度開始から続く「一般NISA」、主に若年層向けの「つみたてNISA」。

それぞれ詳しく解説していきます。

一般NISA

・年間120万円までを5年間にわたり非課税で運用可能

・投資対象は、上場株式・ETF・公募株式投信・REIT等と多岐

つみたてNISA

・非課税保有期間が20年、年間非課税枠が40万円

・投資対象は、コストが低いなど金融庁から認可された投資信託のみ

2024年以降の新しいNISA

2024年からの新しいNISAには、大きな改正がいくつもあります。

主なポイントを4点に絞り説明します。

「一般NISA」と「つみたてNISA」が併用可能に

積立nisa

現行では【一般NISA・年間120万円】もしくは【つみたてNISA・年間40万円】を選択する必要がありました。

しかし、新しいNISAでは【つみたて投資枠・年間120万円】かつ【成長投資枠・年間240万円】まで、つまりに年間360万円まで大幅に投資枠が拡大します。

制度が恒久化

現行の「一般NISA」は2023年、「つみたてNISA」は2042年までというように、勘定期間と呼ばれる利用期間が限定されていました。これが恒久制度になり、いつでも利用開始が可能となりました。

非課税保有期間が無期限に

「一般NISA」の保有期間は5年間と定められていました。5年経過時に売却をするか、継続したい場合には、翌年分のNISA枠を利用するロールオーバーという手続きが必要でした。一方、新しいNISAは非課税保有期間が無制限になります。5年後に売却したくないものを無理に売却する必要もなくなり、より長期の投資が可能になります。

非課税限度保有額が1,800万円

最後に、新しいNISAで非常にメリットがあると感じるのは「非課税限度保有額」です。

1人当たり1,800万円まで上限を定め、簿価で管理のうえ一生涯1,800万円の投資枠を利用できます。

運用見直しのための売却やお金が必要になり換金をしたときも、あらためてその枠を使うことができます。現行NISAでは、売却すると枠の再利用はできず、利益確定のタイミングを図るのが難点でした。

新しいNISAでは、突発的な家の修繕費のため換金をしたいというときなど、退職後のライフイベントに対応できるようになります。例えば、限度額の1,800万円の内1,000万円を換金したとしても、1,000万円分の投資枠は復活することになります。

もちろんこれまで通り、約20%かかる税金が非課税になるため、とても大きなメリットを享受できます。

退職金運用においてNISAで購入する商品

退職金運用において、NISAで購入できる商品は主に下記2点になると思います。

それぞれのメリット・デメリットを紹介します。

投資信託

投資信託のいちばんのメリットは少額で分散投資ができる点です。米国や欧州などの先進国、インドやメキシコなどの新興国の株式や債券、他にはゴールドや原油など商品先物を投資対象としたものなど、投資信託は国内に数千本存在します。それぞれ1,000円、10,000万円といった単位で投資が可能です。

種類が多いことで、かえって初心者にとってはどれに投資すれば良いか選ぶのが難しいというデメリットもあります。

また、仕組みが少し複雑な商品も多いため、目論見書等でしっかり内容を確認する必要があります。

高配当株式

新しいNISAの開始で「高配当株式」への投資は注目を集めそうです。

株式の配当は年1回、2回など、企業の決算期などに保有株数に応じて配当が受け取れます。例えばA社株を1000株保有し、年間配当金が100円だったとします。その場合、「1000円株×100円=100,000円」の受取りではなく、約20%の税金が引かれるため、約80,000円の手取りとなります。

NISAで購入した場合、約20%の税金がかからずに配当金を受け取ることができます。現在も一般NISAで120万円分の株式は購入可能ですが、それが来年から240万円に倍増、かつ恒久化する点はとても魅力的ですね。

ただ、株式は価格変動が大きく、元本棄損のリスクがあることを十分に理解し投資することが肝要です。

まとめ

これまで退職金運用にはあまり適していないように感じられたNISAでしたが、2024年からはじまる「新しいNISA」は退職金運用にも十分活用できる制度に変更されます。

しかし、老後の貴重な資産である退職金の運用はより慎重に行う必要があります。

本稿では制度の概要と主にメリットについて解説しましたが、投資信託も高配当株式も元本保証ではありません。

退職金運用にあたり、不安な点、疑問点があればプロに相談することも選択肢の一つです。

計画的に退職金運用をし、充実した老後生活を送りましょう。

ifaへの相談の流れ

著者

永尾 大地

(株)outperform
代表取締役

不動産業に特化した広告代理店、証券会社、不動産会社、個人事業主として金融仲介業(IFA)等を経て(株)outperformを設立。金融商品だけではなく、不動産などを含めたコンサルティングを行っており、資産を「増やす・守る・遺す」といったあらゆる資産運用ニーズに応えている。
会社経営者や不動産オーナーなど、個人・法人を問わず好評を得ている。
保有資格:AFP、宅建士