金庫株のメリットについて、中小企業オーナー向けに解説

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金庫株のメリットについて、中小企業オーナー向けに解説

中小企業経営の金庫株

金庫株の活用は未上場企業の事業承継やオーナー社長の死去に伴う相続対策において非常に有効だと言われています。

金庫株とは、企業が自社株を買い戻して手元に置くことをいいます。なぜ金庫株と呼ばれているかというと、株主から株券を購入し自社の金庫にしまっておくためです。

具体的な金庫株の活用メリットは、①後継者が納める相続税対策、②自社株の分散防止対策に繋がる点が挙げられます。

本記事では、これまで説明した金庫株の活用メリットについて詳しくお伝えするとともに、金庫株を活用する際のデメリットや注意点もご紹介します。

最後までご覧いただけますと幸いです。

金庫株の活用が一般的な理由

今では未上場企業で一般的になっている金庫株の活用ですが、以前は一定の条件にしか適用できない規制がありました。しかし、2001年10月1日の商法改正によりその規制がなくなり、企業は目的を問わず、自社株の取得及び保有が可能となりました。それ以来金庫株の活用の幅は広がり、現在は多くの会社でこの手法が利用されています。

金庫株のメリット①相続税の納税負担引き下げ

相続税

多くの中小企業オーナーの資産の大半は自社株や不動産など、流動性の低い資産で占められていることが非常に多いです。更に、資産に占める現金比率が低いことも特徴で、相続人が相続税の納税資金の捻出に苦労するケースは多々あります。そのため、特に長年しっかり利益を積み上げている中小企業(しっかりとした経営をしている会社は株価が大きく値上がりしている)の後継者にとって、相続税の納税資金確保が事業承継の大きな課題となっています。上場企業の株式であれば、相続税納付前にそれらの株式を売却し納税資金に充てることができますが、ご存じの通り未上場企業の場合そう簡単にはいきません。

そこで、中小企業にとっては金庫株の活用が非常に有効になってきます。具体的には、相続により自社株式を取得した相続人が、その株式を会社に売却し会社が金庫株として取得します。それにより相続人に自社株の売却代金が入り、その現金を相続税の納税資金にするという仕組みです。この方法を利用することで、自社株だけでなく不動産や有価証券など、他の資産を無理矢理売却する必要もなくなります。

金庫株のメリット②自社株の分散防止対策

自社株の分散防止対策

事業承継おいて、株式の分散防止策を行ったかどうかによって、その後の会社経営には大きな差が生じます。例えば、事業承継の対策をせずオーナー社長が急逝してしまった場合、複数の法定相続人に株式が分散され、後継者の社長に経営権を集中できなくなることがあります。

中小企業においては、大企業と違い経営判断の素早さが求められます。重要な意思決定を社長の判断だけで下すことができず、多くの手続きに時間がかかり結局ビジネスチャンスを逃してしまうといったことも考えられます。後継者の社長がスムーズに会社経営を引き継ぐためにも、自社株の分散はなるべく避けたいところです。

そして、この対策としても金庫株の活用は有効に働きます。社長をはじめ、経営に携わる後継者以外の相続人から株式を取得し金庫株にしておけば、後継者の株式保有比率を一定以上にして経営権を集中させられます。実際、帳簿上株式は存在するものの、実質的には消却したのと同じ状態になるため、会社の経営の安定化に非常に役立ちます。

中小企業の事業承継において、株式の分散対策は非常に重要な役割を果たします。生前より金庫株活用の準備をしておくと、いざ事業承継が起きた際に後継者はとてもありがたいと感じるでしょう。

金庫株を活用する際の注意点やデメリット

結論から言うと、未上場企業にとって金庫株活用のデメリットはないと言って差し支えないでしょう。一方上場会社では、金庫株の取得(自社株買い)を公表すると株価が大きく上昇するケースが目立ちます。また、とある企業が自社株買いの発表をしたところ、同業他社企業も同様に自社株買いをするのでは?といった思惑から株価が上昇するようなケースもあり、上場企業にとって金庫株の活用には注意が必要です。

金庫株は剰余金分配可能額の範囲内でしか取得できない

金庫株は剰余金分配可能額の範囲内

金庫株のデメリットは無いとしても注意点はあります。

財源規制により、金庫株は剰余金分配可能額(法人課税済みの利益)を超えられない決まりがあります。つまり、赤字企業や分配可能額がない場合は、会社として自社株を取得することができません。

しかし、仮に十分な余剰金分配可能額があったとしても、株式を買い取るための現金があるとは限りません。また、余剰金分配とは、BS上の「その他資本剰余金」と「その他利益剰余金」の合計額から自己株式等を差し引いた額を指すため、既に自社株比率が高い場合、買い取り可能額は極端に少なくなってしまいます。

原則として他の株主に取得情報を公開する必要がある

会社法により、金庫株を取得する際は、全ての株主に対して買取り価格や買取りする事実を通知しなければなりません。

株主が分散している場合、相当労力のかかる作業となるため早めの対策が有効でしょう。

金庫株対策には生命保険を活用

中小企業の事業承継において非常に有効な手段である金庫株活用ですが、オーナー社長が保有する全ての株式を買取るほど剰余金がないケースは多々あります。また、仮に資金に余裕はあったとしても、自社株の買取りにより大半のキャッシュを減少させた状態での事業承継は後継者の社長にはとても酷でしょう。

そこで、金庫株の活用に向けて資金を準備するのであれば生命保険が有効です。生命保険であれば、先ほどご説明した「余剰金分配可能額」と「買取資金」を同時に準備できます。

既に多くの経営者の方々は事業保障対策として生命保険に加入していますが、金庫株対策まで見据えている方は少数です。保険については、年齢が上がれば上がるほど加入のハードルは高くなります。いよいよ事業承継の対策をしようと生命保険に加入しようとしたものの年齢や健康状態から加入を断られてしまう、といったことは日常茶飯事です。

まとめ

ほとんどの経営者にとって事業承継対策は非常に悩ましい問題です。某永守会長のように生涯現役という方や、自分の代で終わらせるという方もいらっしゃいますが、会社が存続する以上、誰かが事業承継をして株式を譲り受けることになります。後継者に金銭面を含め負担の軽減ができるよう、早めの対策をしてはいかがでしょうか。

また本記事では、主に相続発生時に金庫株を活用する際のメリットや注意点をお伝えしましたが、相続時以外では多額のみなし配当所得課税が生じることが多く、より細心の注意が必要です。

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まだ日本では認知度が低く分かりにくいため下記に特徴を紹介します。

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大半のIFA法人は既存の金融機関と資本関係はなく、提携する証券会社や金融機関から販売要請やノルマを課されることがないため、顧客利益を最優先したコンサルティングが可能です。

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IFA法人は複数の証券会社や生命保険会社等と提携しているケースが多く、豊富な商品ラインナップから顧客に最適なものを紹介できる強みがあります。

さらに、税理士や弁護士といった士業と外部連携をしていたり、不動産など金融以外の経験を有していたりと、金融以外の分野にも精通したIFAも存在します。

さいごに

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ifaへの相談の流れ

著者

永尾 大地

(株)outperform
代表取締役

不動産業に特化した広告代理店、証券会社、不動産会社、個人事業主として金融仲介業(IFA)等を経て(株)outperformを設立。金融商品だけではなく、不動産などを含めたコンサルティングを行っており、資産を「増やす・守る・遺す」といったあらゆる資産運用ニーズに応えている。
会社経営者や不動産オーナーなど、個人・法人を問わず好評を得ている。
保有資格:AFP、宅建士