個人年金保険・変額個人年金保険の違いは?老後の上乗せ資金のつくり方を紹介!
個人年金保険・変額個人年金保険と聞いて、「名称に『年金』とつくのだから、おそらく定年後に受け取れるように備えておく保険なのだろう」とピンとくる方も多いかと思います。答えはその通り。個人年金保険は、将来の年金受け取りと、資産形成、死亡保障の機能をあわせ持つハイブリッドな商品です。
これらの保険は、公的年金制度の中の「老齢年金」を補完する商品といわれています。
※「老齢年金」を含む公的年金制度について詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。
→参照「公的年金制度を分かりやすく解説!資産を上乗せする手段にはなにがある?」
人生100年時代の今、定年後の自由な時間は現役時代の労働時間に匹敵するほど長い時間になることが想定されています。現代の定年世代はまだまだ若々しく、老後というよりは「セカンドライフ」という言葉がしっくりきますよね。
セカンドライフをより有意義で快適なものにするためには、現役世代のうちから計画を立て、経済的に備えておくことが大事になってきます。
以前の記事で、個人年金保険がどのような方に向いているのかをメリット・デメリットを踏まえてお伝えしています。→参照「個人年金保険のメリット・デメリット」
なので本記事では個人年金保険を検討している方に向けて、具体的な種類や保険の受け取り方などをより詳しくお伝えしていきます。
ご自身のニーズに合う商品を選択できるようにするためにも、是非ご一読いただけますと幸いです。
目次
個人年金保険にはどんな種類がある?
繰り返しになりますが、個人年金保険は老後保障を目的とする生命保険商品です。具体的には、退職から公的年金が支給されるまでの生活費を準備するためや、公的年金額では足りない生活費を補うために加入することなどが想定されます。そして個人年金保険には、「個人年金保険」と「変額個人年金保険」の2種類があります。
個人年金保険
個人年金保険とは、契約時に定めた年齢から、決まった年金額(基本年金額)を受け取れる商品です。一般的に、契約時に定められた利率(予定利率)などにより決められた基本年金を受け取れます。個人年金保険は契約時に定めた予定利率が保証されるように、安全性を重視して一般勘定で運用されます。商品によっては年金受取開始時に年金額が確定するものもあります。
変額個人年金保険
一方、変額個人年金保険とは、国内外の株式や債券などから構成される特別勘定で運用をおこない、その運用実績によって年金額や解約返戻金などが増減する商品です。契約時に定めた年齢から年金を受け取ることができます。通常、年金受取開始時に年金額は確定しますが、一時払い保険料分などを最低保証とする商品もあります。
個人年金保険と変額個人年金保険の違い
個人年金保険と変額個人年金保険にはいくつか違いがあります。また変額個人年金保険は、年金原資を運用するという特性があるため、その独自の特徴も併せてお伝えしていきましょう。
相違点①運用リスクの帰属先
まず、保険会社が積立金や払い込んだ保険料を管理・運用する勘定は、一般勘定と特別勘定の2種類があります。個人年金保険は、安定的といわれる公社債を投資先とする「一般勘定」で運用されるため、運用による損益は保険会社に帰属します。利率が保証される「予定利率」がある保険商品の保険料も合同で一般勘定にて運用されます。
一方、特別勘定にて運用・管理される商品が変額個人年金保険です。特別勘定とは、運用実績を直接的に契約者などに還元することを目的に、生命保険会社が保有する他の資産とは区別して運用される勘定のことで、ファンドとも呼ばれます。特別勘定で運用される商品は、運用実績に応じて受け取る年金額や給付金・解約返戻金などが増減するため、その投資リスクは保険契約者および保険金受取人に帰属します。
相違点②保険料を払い込んだときの税金
「個人年金保険料税制適格特約」を付加した個人年金保険の契約は、「個人年金保険料控除」を受けることができます。この特約を付加していない個人年金保険の契約と、変額個人年金保険は「一般生命保険料控除」を受けることができます。
※「個人年金保険料控除」…契約者(保険料負担者)の所得から控除額を差し引くことで課税対象の所得が減り、所得税・住民税の負担が軽減されます。ただし保険料払込期間が10年以上必要であることや、一時払いでは適用不可になるなど条件がいくつかあります。下記の記事に保険料控除をさらに詳しく解説しているので、あわせてぜひお読みください。
相違点③万が一のときの保障
万が一被保険者が年金受取開始前に亡くなってしまった場合、保険金受取人は「死亡給付金」を受け取ることができます。個人年金保険の場合は、一般的に、死亡時点での保険料相当額が、変額個人年金保険の場合は、通常、死亡日の積立金額(多くの商品では払込保険料の総額を最低保証)が死亡給付金として支払われます。その際、死亡給付金を一時金ではなく年金で受け取れる商品もあります。その場合は、遺族年金支払特約などの特約を付加するのが一般的です。
変額個人年金保険の特徴
・運用実績によって将来の受け取り年金額が変動するため、契約時点で利率が決まっている個人年金保険よりも、インフレリスクに対応しやすい点
・一般的に個人年金保険よりも大きなリターンが期待できる一方で、運用に関するリスクが大きくなる点(株価や債券価格の下落、為替の変動により、積立金額、解約返戻金額は払込保険料の総額を下回ることがあり、損失が生ずるおそれがある)
・投資信託と異なり、年金受取時や解約時まで課税が繰り延べられる点
などが挙げられます。
年金の受け取り方
個人年金保険・変額個人年金保険の年金受取期間は、①一生涯受け取るタイプと、②一定期間受け取るタイプの2つに大別されます。そのほか、夫婦いずれかが生存している限り年金を受け取ることができる「夫婦年金」などもあります。
①一生涯受け取るタイプ(保証期間付終身年金)
保証期間中は生死に関係なく年金を受け取れ、保証期間経過後は、被保険者が生きている限り一生涯年金を受け取ることができるタイプです。保証期間中に被保険者が死亡した場合は、遺族が残りの期間分の年金原価を一括で受け取るか、保証期間が終わるまで年金を受け取ることができます。
一生涯受け取るタイプは公的年金や企業年金の不足を補う「上乗せ資金」に適しているといえるでしょう。
②一定期間受け取るタイプ(確定年金)
契約時に定めた年齢から、年金の受け取り期間を10年(5年・15年などもあります)など一定期間にするタイプです。被保険者の生死に関係なく年金が受け取れ、受取期間中に被保険者が死亡した場合は、遺族が残りの期間に対応した年金または一時金を受け取ることができます。
一定期間受け取るタイプは、退職してから公的年金が支給されるまでの「つなぎ資金」などに適しています。
年金の受け取り方は変更できる?
商品によっては、年金受取開始時に「契約時に決めた年金開始時期」や「契約時に選んだ年金種類」を変更できるものがあります(例:「10年確定年金→15年確定年金に変更」や「10年確定年金→10年保証期間付終身年金に変更」など)。ただし、変更する際には、変更後の年金額が一定額に満たない場合には変更できないなど制限があります。そして、年金受取開始後は年金種類の変更はできません。
(まとめ)結局、個人年金保険はどう選べばいいの?
ここまで、個人年金保険と変額個人年金保険のそれぞれの特徴を解説してきましたが、自分のニーズに合う商品はどちらなのか分からない方も多いと思います。
なので、それぞれの保険に向いているタイプを簡単にまとめてみました。
個人年金保険に向いている人
- 元本割れをしてほしくないと思っている
- あらかじめ受け取れる年金額を把握しておきたい
- リスクをとって年金額を増やすことを追求せず、安定的に運用したい
変額個人年金保険に向いている人
- 価格変動リスクなど市場リスクを許容できる
- 株式・投資信託など有価証券への投資経験がある、または金融商品について知識がある
- 将来のインフレリスクに保険商品で備えたい
上記がすべてではありませんが、ご自身がどちらのタイプに当てはまるかを考えるご参考になれば幸いです。
しかし、個人年金保険・変額個人年金保険に加入するとして、いくらで契約すればよいのか、今ご自身が加入している保険や、いずれ受け取る公的年金・企業年金(退職金)なども含めて試算するのはとても大変です。必要な備えが重複してしまう可能性もあります。「自分や家族にとって最適な保険を選びたい」、「誰に相談したらいいか分からない」という場合はIFAに相談してみてはいかがでしょうか。
IFAとは
IFAはIndependent Financial Advisor”の略で、近年業界で注目を集める金融アドバイザーの業態の一種です。
大きな特徴は、既存の金融機関から独立した経営方針の下、中立的な立場で顧客の立場に立った金融アドバイスができる事業形態にあります。
顧客に寄り添った提案が可能
先述の通り、多くの証券会社や銀行の営業マンは会社に所属しているため、目標やノルマがあり、更に会社の方針に従う必要があります。そのため、真に顧客のための営業活動ができないことが予想されます(実際そうだと思います)。
一方、大半のIFA法人は既存の金融機関と資本関係はなく、提携する証券会社や金融機関から販売要請やノルマを課されることがないため、顧客のメリットを最優先した提案が可能です。
豊富なサービスラインナップ
IFA法人は複数の証券会社や生命保険会社等と提携しているケースが多く、豊富な商品ラインナップから顧客に最適なものを提案できる強みがあります。
個人年金保険は公的年金を補完するという側面だけでなく、老後の資産形成や子・孫に資産をつないでいくという資産運用の側面もあります。資産運用アドバイザーのプロであるIFAに相談することで、最適な保険選びができることでしょう。
さいごに
生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」(2021年度)によると、公的年金以外に、自助努力として準備しているもので、セカンドライフに期待できる準備手段としては、「預貯金など(41.2%)」に次いで、「生命保険(22.6%)」「個人年金保険(17.7%)」の順番となっています。
ゆとりあるセカンドライフを迎えるための備えとして、個人年金保険は近年人気が高まっています。現在の保険加入状況を見直して、個人年金保険を活用してみたいとお考えでしたら、「金融資産・生命保険」などをワンストップで相談できる強みがある私たちoutperformに是非ご相談ください。
※本記事は2022(令和4)年5月時点で実施されている法令等に基づいて作成しています。