貯蓄型保険を早期解約してしまったことでの失敗例

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貯蓄型保険を早期解約してしまったことでの失敗例

貯蓄保険の失敗

「将来のための貯蓄になるから」という理由だけで、内容を深く知らずに貯蓄型保険を選んでいませんか?

特に資産形成層である20~30代の若い世代や、子どもの教育資金を準備したい子育て世代において、万が一の保障と貯蓄を両立できる商品は非常に人気があります。しかし、その仕組みやリスクを正しく理解せずに契約してしまうと、思わぬライフステージの変化があった際に大きな後悔につながることがあります。その典型的な事例が、「早期解約」にまつわる元本割れのトラブルです。

今回の記事では、貯蓄型保険が早期解約で損をする仕組みや、実際に起こった失敗例、そして保険選びで失敗を避けるためのポイントについても解説しています。これから保険を検討する方はもちろん、すでに加入していて見直しを考えている方もぜひ最後までご覧ください。

そもそも「貯蓄型保険」とは?

生命保険は、解約時や満期時にお金が戻ってくるかどうかで、大きく「貯蓄型」「掛け捨て型」の2つに分けることができます。

① 貯蓄型保険の代表的な種類

支払った保険料の一部が将来のために積み立てられていき、途中で解約した際や満期を迎えた際にお金(解約返戻金や満期保険金)が戻ってくる保険です。

  • 終身保険:保障が一生涯続き、何歳で死亡しても保険金が支払われます。途中で解約した場合は解約返戻金が受け取れます。
  • 養老保険:保険期間が「10年間」や「60歳まで」など一定で、期間中に死亡した場合は死亡保険金、満期まで生存した場合は同額の満期保険金が受け取れます。
  • 学資保険:子どもの教育資金の準備を主目的とした保険です。

② 比較される「掛け捨て型保険」

  • 定期保険や収入保障保険など:解約してもお金が全く戻らない(またはごくわずか)タイプです。その代わり、貯蓄型に比べて「安価な保険料で大きな保障を確保できる」という特徴があります。

貯蓄型保険のメリット

貯蓄型保険の最大のメリットは、「保障を得ながら、将来に向けた資産形成を強制的に行えること」です。銀行預金だとついつい使ってしまう方にとっては、確実にお金を貯める手段として有効です。その他にも以下のようなメリットがあります。

・万が一の事態が起きても、遺された家族にまとまった資金(死亡保険金)を確実に遺せる

・解約しなければ、将来的に支払った保険料以上の解約返戻金を受け取れる商品もある(※契約内容による)

・一般の生命保険料控除が利用でき、所得税や住民税の負担を軽減できる

貯蓄型保険のデメリット

反対に、貯蓄型保険の最大のデメリットは「途中で解約(早期解約)をすると、高確率で元本割れすること」です。その他にも以下のようなデメリットがあります。

・掛け捨て型保険に比べて、毎月の保険料が数倍から十数倍と非常に高く設定されている

・支払った保険料の全額が貯蓄に回るわけではなく、保険会社の運営費や人件費(新契約費など)が差し引かれるため、加入後数年間の解約返戻金は極めて少ない、あるいは0円である

・一度契約すると契約内容が固定されるため、市場金利が変動した際などに、より有利な運用先へ資金を動かすといった臨機応変な対応が難しい

実際に起こった失敗例

保険の失敗例

Aさんは32歳のときに、第一子が生まれたことをきっかけに「子どもの教育資金と自分に万が一のことがあったときの備えを同時に用意したい」と考え、終身保険に加入しました。毎月の保険料は2万5,000円と決して安くはありませんでしたが、「銀行に預けるより増えるし、どうせ貯金するつもりだったから」と、月々の貯蓄のほとんどをこの保険に充てることにしました。

ところが数年後、想定外の事態が起こります。Aさんが勤務する会社の業績が悪化し、ボーナスが大幅にカットされてしまったのです。さらに、住宅ローンの金利上昇や物価高も重なり、毎月2万5,000円の保険料を支払うことが家計の大きな負担となってしまいました。

直近の生活費や教育費に充てる現金が不足したAさんは、やむを得ず保険の解約を決意します。加入してからわずか4年。これまでに支払った保険料の総額は120万円でした。しかし、保険会社から提示された解約返戻金は約50万円。早期解約の手数料や初期費用が差し引かれた結果、70万円近くも損をする(元本割れする)ことになってしまったのです。

Aさんは、「将来増えて戻ってくることばかりに目を奪われ、途中で払えなくなるリスクや、すぐにお金を引き出せないリスクを全く考えていませんでした」と深く後悔する結果となりました。

保険選びで失敗しないための注意点

先ほどのAさんの事例は、解約返戻金が「いつ、いくら戻ってくるのか」という長期的な推移と、自身の家計の流動性(現金の動かしやすさ)を想定していなかった典型的なケースです。

ここからは、貯蓄型保険選びで失敗しないための注意点を3つご紹介します。

注意点1:将来の「解約返戻金の目安」を大枠だけでも把握しておく

契約する際、10年後や20年後の満期のときに「いくら戻ってくるか」についてはなんとなくイメージしていても、加入直後の数年間でやめた場合の金額まで覚えている方は多くありません。

一般的に、貯蓄型保険は長期継続が前提のため、数年でやめると戻るお金はかなり少なくなってしまいます。加入する段階で「早くやめると元本割れする仕組みなんだな」という大枠の目安だけでも頭に置いておくと、のちのちのギャップを防ぐことができます。

注意点2:保険に回すお金は、すぐに使わない「余裕資金」にとどめる

「貯蓄になるから」といって、生活防衛資金(急な病気やトラブルに備える数ヶ月分の生活費)や、数年以内に使う予定がある資金まで保険に変えてしまってはいけません。保険は銀行預金のように「必要になったから一部だけ手数料なしですぐに引き出す」ということが難しいためです。

提案されたプランが、万が一収入が減った時期でも無理なく継続できる金額かどうか、「毎月払い続けられる額」で設定することが大事です。

注意点3:契約後に支払いが難しくなった場合の「選択肢」を持っておく

貯蓄型保険は長期契約のため、途中で家計の状況が変わることもあります。「どうしても毎月の支払いが厳しい、でも早期解約で元本割れはしたくない」という状況に陥った場合、ただ解約する以外にも以下のような対処法があります。

  • 証券運用との併用(分配金の充当など)

あらかじめ投資信託などの資産運用を並行して行っておき、そこから得られる分配金や部分売却益を保険料の支払いに充当するという方法です。家計の給与収入だけに頼らず、複数の資産を持っておくことで、保険を解約せずに維持しやすくなります。

  • 「払済保険(はらいずみほけん)」への変更

保険会社に申請して、今後の保険料の支払いを完全にストップする制度です。その時点での解約返戻金を元手に、保障期間はそのままで、保障額を下げた保険に切り替えます。これを利用すれば、これ以上お金を払うことなく、早期解約による元本割れも回避できる場合があります。

  • 「契約者貸付(けいやくしゃかしつけ)」の利用

一時的な資金難であれば、将来戻ってくる解約返戻金の一定範囲内で、保険会社からお金を借りて保険を継続する制度もあります(※利息が発生します)。この契約者貸付の詳しい仕組みや注意点については、別記事で詳しく解説します。

【まとめ】保険はちゃんと理解して選ぼう

ifa

貯蓄型保険は、長期にわたって継続できるのであれば、確実な資産形成と万が一の保障を両立できる有効な手段となります。しかし、利回りの良さや「貯蓄になる」という面だけに目を奪われ、早期解約のリスクや、いざという時の柔軟性の低さを理解していないと、Aさんの事例のように大切な資産を減らす結果になりかねません。

保険に加入する際は、その商品がどのような仕組みで、万が一途中で維持できなくなったときにどんな選択肢があるのかまでしっかりと把握したうえで、「この保険に入ってよかった」と思える選択をしましょう。

けれど、数ある保険商品の中から、自分のライフプランや他の資産運用とのバランスを見極めるのはとても難しいことです。保険選びや、家計全体の資産形成について分からない点や不安な部分があるときの相談先として、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)という選択肢をご紹介します。


永尾双葉
著者

永尾 双葉

取締役管理部長

大学卒業後、国内証券会社に入社し、主に東京都世田谷区の富裕層へのコンサルティング業に従事。その後、大手国内証券会社へ入社しコールセンターのSVとしてマネージメントも経験。現在は、バックオフィスとして顧客と従業員のサポートを中心に業務を行っている。
保有資格:AFP、宅建士