「NISAの暴落」という誤解――制度と投資商品の違いを整理しよう

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「NISAの暴落」という誤解――制度と投資商品の違いを整理しよう

NISAの暴落

SNSの投稿などで「NISAが暴落」「NISAは危険だ」といった表現を見かけることがあります。

しかし、仕組みから考えると、NISAという制度そのものが値上がりしたり暴落したりすることはありません。

なぜこのような表現が生まれるのかを考えてみたのですが、「NISAという制度」と「その中で購入している投資対象」が混同されているからではないか、と推測しています。

今回は、NISAに関する基本的な構造を客観的に整理し、資産形成においてこの違いをどのように捉えるべきかを解説します。

1. NISAは口座であり金融商品ではない

まず前提として、NISAは国が定めた非課税の優遇制度です。

・NISA制度: 得られた利益に対する約20%の税金がかからなくなる口座の枠組み

・投資対象: その口座を通じて実際に買い付ける投資信託や株式

銀行の普通預金口座という枠組み自体が値動きしないのと同様に、NISA口座という枠組み自体が価格変動を起こすことはありません。

価格が上昇したり暴落したりしているのは、あくまでその口座を通じて購入した特定の株式や投資信託です。例えば、世界中の株式に分散投資するファンドなのか、特定の国や企業の株式なのかによっても価格の動き方は大きく異なります。暴落しているとすれば、それは「NISA」ではなく「そこで選んでいる具体的な商品」の値動きに過ぎません。

2. なぜ「NISAが暴落した」という言葉が使われてしまうのか

NISA

制度の仕組みに馴染みがない場合、利用している「制度名」と「購入した商品名」が頭の中でひとつに結びついて認識されやすい傾向があります。

特に近年、制度の刷新に伴いメディア等で「NISAを始める」という表現が広く使われるようになりました。

個人的には、この「NISAを始める」という言い回しが日常化されたことで、あたかも『NISA』という名前の金融商品が存在し、それを購入したかのようなイメージを持つ方が増えたのではないかと捉えています。

しかし、実際には以下のように明確な違いが存在します。

項目NISA制度投資対象
該当するものつみたて投資枠や成長投資枠国内外の個別株や投資信託
価格の変動変動しない市場の値動きに応じて毎日変動する
リスクの所在なし選択した銘柄や市場環境によって存在する

つまり「NISAで購入していた投資信託の価格が下落した」という本来の出来事が、言葉として短縮された結果、「NISAが暴落した」という誤解を招きやすい表現として一人歩きしているのではないでしょうか。

3. 認識を整理しておく実務上のメリット

制度と商品を分けて理解しておくことは、単なる言葉の定義の問題ではなく、自身の資産管理において合理的な判断を行うために重要です。

投資対象ごとのリスクを正しく評価できる

「NISAはリスクがある」と一括りで捉えてしまうと、中で運用している商品ごとのリスクを見誤る原因になります。暴落や下落のリスクはNISA制度に起因するものではなく、選択した投資対象のリスク特性に依存します。

市場下落時の不必要な動揺を防げる

価格変動の理由が選択している投資対象の値動きにあると正しく把握できていれば、市場の下落局面において、制度そのものに問題があったのではないかという不必要な混同や混乱を避けることができます。

【まとめ】制度と商品を切り分けて捉えよう

ここまで読んでいただいて、NISAは、一定のルールのもとで投資利益を非課税にするための枠組みだとご理解いただけたと思います。

*NISA:税制上の優遇を受けるための枠組み

*投資信託・株式:リスクとリターンを伴う実際の運用対象

この2つを明確に区別して捉えることが、市場のニュースやSNSの情報に振り回されず、ご自身の資産形成と冷静に向き合うための基礎となります。

「自分のいまの資産構成だとどう整理すればいいだろう?」「制度の使いこなしについて、一度フラットに話を聞いてみたい」など気になることがありましたら、ぜひお気軽に私たちoutperformまでご相談ください。


永尾双葉
著者

永尾 双葉

取締役管理部長

大学卒業後、国内証券会社に入社し、主に東京都世田谷区の富裕層へのコンサルティング業に従事。その後、大手国内証券会社へ入社しコールセンターのSVとしてマネージメントも経験。現在は、バックオフィスとして顧客と従業員のサポートを中心に業務を行っている。
保有資格:AFP、宅建士